生まれてから乳歯が生え、その後永久歯が生えてきます。
この間に歯が綺麗に並ぶ人もいれば歯の並びが乱れてしまい、歯並びが悪く育ってしまう方もいて人によっては矯正歯科の治療を受ける人もいるでしょう。
歯並びが乱れることで様々なトラブルが起こると言われていて、実は矯正治療というのは他のお口のトラブルを避ける上でとても重要な役割を果たしているのです。
今回は、歯並びが原因によって起こるお口の怖い病気と矯正治療の基礎知識についてお話をしていきます。
1. 歯並びで起こるお口のトラブル!
歯並びが悪いと時に様々なトラブルを起こしてしまいます。
もし何かしらのトラブルを抱えていた場合には歯並びの不調和が原因になっているのかもしれません。
1-1. 虫歯
虫歯の原因は歯にくっついたプラークという歯の汚れです。
プラークがたくさんついてしまうと歯の表面に常に細菌が巣を作ったようになってしまい、なかなか汚れを落とすことができなくなります。
歯は一度壊されてしまうとそう簡単には元に戻らず、必ず歯科治療が必要になります。
歯並びが悪くなってしまうとどうしても磨き残しができてしまい、この磨き残しの部分には歯垢が常に溜まってしまいます。
この磨き残しは1日〜2日程度の間に溜まった磨き残しではなく、毎日の歯ブラシで見過ごされた長期間にわたる磨き残しです。
一人でお口のケアを行うことが難しい場合には歯科医院でPMTCという専門的な口腔ケアを受ける必要があり、歯並びが原因で毎日の口腔ケアが難しくなってしまいます。
1-2. 歯周病
日本人の実に80%の人が歯周病にかかっていると言われています。
歯周病は歯の表面に付着した歯石が原因で起こる歯茎の慢性的な炎症で、炎症が原因で歯を支えている骨が溶けてしまい、やがて骨が歯を支えきれなくなり歯が抜けてしまうのです。
歯石とは歯垢が唾液の中の成分によって石灰化し、硬く固まってしまったもので、一度歯石が付着するとなかなか一人で除去することが難しくなるので、必ず歯科医院で歯石除去を行ってもらう必要があります。
歯石は下側の前歯の裏側と上の奥歯の頬側に付着します。
この部分を丁寧に磨き、定期的にデンタルフロスで磨くことでお口の中をきれいに保ちましょう。
詳細は、「歯周病にならないために/歯の健康を守る歯石除去とは」も参考にしてください。
1-3. 舌癌
癌(ガン)というのは分裂する能力のある細胞全てに関わりのある病気です。
当然、肉や舌にも癌が発症することがあります。
歯並びが悪く、歯が常に舌に触れてしまっている場合には舌癌のリスクファクターになると言われています。
舌癌の原因はタバコや刺激の強い食べ物だけでなく、歯が常に舌にぶつかってしまうことで起こる刺激だと考えられていて、長期間にわたり繰り返し刺激が加わることで健康な細胞にダメージが蓄積し、やがて癌化してしまいます。
舌癌の治療は抗癌剤の使用や放射線治療の他に手術という選択肢がありますが、手術で舌を切り取ってしまうと発音や食事に問題が起こります。
歯並びが悪く舌に繰り返し口内炎ができてしまう方は注意しましょう。
詳細は、「口内炎の原因とは・3つの予防対策と治療法」も参考にしてください。
1-4. 顎関節症(がくかんせつしょう)
顎の関節は非常に特殊な関節で、他の関節とは異なった独特の動きを行います。
このため、関節内にある関節のクッション(関節円板)や関節の周りの筋肉や組織に炎症が起こってしまうと関節の動きが制限され、顎関節症になってしまいます。
顎関節症は様々な要素が積み重なった結果として発症すると言われていて、その中の原因の一つに歯並びがあります。
歯並びが悪く、顎の動きに制限が加わってしまう人は注意が必要です。
2. 歯並びの治療
歯並びの治療は大人になってから行う矯正と子供の間に行う矯正では考え方が異なっています。
矯正治療は歯科の中でも特殊な部類に入る治療なので、治療を受ける前にしっかりと知識をつけておくことが重要です。
詳細は、「大人必見!歯科矯正をする事で起こる体への影響」も参考にしてください。
2-1. 子供の矯正治療
子供の矯正治療の目的は適切なお口の発育の手助けです。
顎の成長に異常があったり、顎の発育が不十分な場合には顎全体を引っ張ったり、顎全体の発育を抑制したりして歯の生えるスペースを適切に確保します。
場合によっては小児歯科の歯科医師と協力して、永久歯が生えるスペースを維持管理し、永久歯が生え始めてから必要な歯科の治療を行います。
やがて歯が生え揃ってきてから歯が生えるスペースを確保しておくことで歯並びをきれいに保つことができます。
また、歯の生えるスペースが確保されていると歯を並べる場合でも十分に並べることができるので、矯正の治療がスムーズに進行します。
2-2. 大人の矯正治療
大人の矯正治療ではまず歯が生えるスペースの確保と、歯が生えるスペースの調整が必要になります。
歯が生えるスペースが十分に確保できない場合には抜歯をして、歯の生えるスペースを確保することもあり、スペースの確保ができてから実際に歯をきれいに並べていきます。
2-3. 治療後の維持管理
矯正治療は治療後に歯並びが元に戻らないように維持する治療が必要です。
矯正で歯を並べた後にもきれいな歯並びを確保できるようにリテーナーという歯の並びを維持する装置を長期間使用する必要があります。
このリテーナーの管理をしっかりと行わないと、せっかくの歯並びも元に戻ってしまうので治療後もリテーナーの使用は継続しましょう。
まとめ
歯並びは実は様々な問題との関連が指摘されています。
歯並びに不安があったり、何かお口にトラブルを抱えている人は早めに歯科医師に相談をしましょう。
早期の解決が望めるかもしれません。
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