歯周病は、口の中だけの病気と思ってはいないでしょうか。
実は歯周病は、歯と歯ぐきだけではなく、全身の疾患に大きく影響する恐ろしい病気なのです。
今回は、歯周病によって引き起こす病気と全身に影響することについて詳しくまとめました。
決して他人事ではないことですので参考にしてみてください。
1. 歯周病は歯が抜けるだけでなく全身に関与している
成人の80%が歯周病にかかっていると言われています。
最近では、10~20代の若い世代でも歯周病にかかる人が増えています。
歯周病は虫歯と違い、痛みがなく症状が進行していくので、気がついたときには歯がグラグラして抜けてしまうということになります。
しかし歯周病が本当に恐ろしいのは、全身の病気に関わることなのです。
歯周病が全身の病気に深く関係するとは一体どういうことなのでしょうか。
2. 歯周病が引き起こす全身疾患
歯周病は、プラークと呼ばれる汚れの中にある細菌が出す毒素によって、歯や歯を支える組織そのものを壊し、やがて歯が抜け落ちる病気です。
そしてこの歯周病は、歯が抜けるだけでなく、歯周病菌が体内に入り込み全身にさまざまな悪影響を及ぼします。
歯周病菌が引き起こす症状は次のとおりです。
2-1. 感染性心内膜炎、狭心症、心筋梗塞
歯周病菌が歯肉から侵入し、血管の中に入り込んでいきます。
入り込んだ歯周病菌が心臓の血管や弁などに取り付き、炎症や血管の詰まりを引き起こすことで狭心症や動脈硬化などになる恐れがあります。
2-2. 糖尿病
糖尿病の怖さは、さまざまな合併症を引き起こしてしまうことです。
糖尿病の人が重度の歯周病になった場合、糖尿病が悪化する恐れがあります。
歯周病の炎症によって生じたサイトカインという物質が血管に入り込み、肝臓の働きの低下を招いて糖の代謝を悪くしてしまいます。
その結果、インスリンが作用しにくくなり、糖尿病が悪化してしまうことがあるのです。
また、糖尿病は血管を脆くさせてしまうので、歯周病菌に対する抵抗力が弱まり細菌感染しやすくなってしまいます。それによって歯周病も悪化してしまいます。
このように、糖尿病と歯周病は相互作用を引き起こしてしまう可能性があります。
2-3. 脳卒中、脳梗塞
歯周病の人は、健康な人に比べて脳卒中や脳梗塞になる倍率が2.8倍とも言われています。
歯周病菌が血管内に入り、プラークと呼ばれる塊が出来て血管に張り付きます。
そして張り付いたプラークが剥がれて血の塊となり、これが脳へ飛び散って血管を細くしたり、脳の血管を詰まらせます。
これが原因で脳卒中や脳梗塞が引き起こされてしまいます。
2-4. 低体重児出産、早産
歯周病の妊婦は、早産や低体重児出産の確率が非常に高く、歯周病でない妊婦と比べて7.5倍と言われています。
妊娠中は、つわりの影響などで歯磨きがしっかりできず、歯肉が腫れて歯肉炎や歯周病になりやすくなります。
歯周病菌が血管内に入り、炎症を起こすことによって早産に繋がり、また赤ちゃんも低体重児出産になる恐れがあります。
詳細は、「妊娠、授乳中のお口の健康/歯医者さんに行っても平気?」も参考にしてください。
2-5. 認知症
認知症は脳血管性とアルツハイマー型があり、どちらも歯周病と深く関わりがあります。
脳血管性の認知症は動脈硬化によるもの、アルツハイマー型は脳の萎縮によるものです。
特にアルツハイマー型は、歯周病により失った歯で噛む力が弱くなり、脳への刺激が少なくなることで認知症が発症、進行していく恐れがあります。
2-6. 肺炎
歯周病菌によって肺炎を引き起こしてしまうことがあります。
細菌感染やウイルス感染が肺炎の原因ですが、誤って食べ物や唾液が肺に入ってしまうことで起こる誤嚥性肺炎は、歯周病菌が大きく関わっています。
歯周病で歯を失ったり、噛む力が弱ったお年寄りや寝たきりの人に多く見られます。
この他にも歯周病は骨粗鬆症や食道ガン、肥満など様々な病気の原因と言われています。
そして喫煙も様々な病気だけでなく、歯周病になりやすい環境を作ってしまいます。
詳細は、「命に関わる病気!?歯槽膿漏の危険性と予防策」も参考にしてください。
3. 歯周病の治療が全身疾患への連鎖を防ぐ
このように、歯周病は重大な病気の引き金になることがあります。
歯周病そのものが生活習慣病と位置づけされているように、まず毎日の生活習慣で歯周病になるリスクを回避しましょう。
そして毎日の歯磨きの他に、定期的に歯科医院でメンテナンスを行い、健康な口の中を保っておくことがとても大切です。
また、歯周病と診断された場合は歯科医院でしっかりと治療を行うことが病気を防ぐ第一歩と言えます。
4. まとめ
歯周病は、口の中で起こる身近な病気ではなく、様々な全身疾患に関わることがおわかりいただけたかと思います。
歯周病にならないように、日頃のセルフケアはもちろん、歯科医院で定期健診やメンテナンスを受けて、健康な生活と体を維持しましょう。
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