親知らずを抜いたあと、痛みだけではなく様々なトラブルに見舞われることがあります。
一般的には様子を見ることが多いですが、なかには歯科医院を受診しなければいけないトラブルもあります。
それでは、親知らず抜歯後の注意点と、起こりやすいトラブルとはどんなものがあるでしょうか。
1. 親知らず抜歯後によくみられるトラブル4選
1-1. ドライソケット
親知らず抜歯のあと、しばらくは出血と痛みが続きます。
抜くときは当然歯科用麻酔を打つので痛み等はほとんど感じられません。
抜いたところは糸で縫う場合とそのままの場合がありますが、いずれにしても出血を伴い、唾液に血が混じると気持ち悪くてどうしても何度もうがいをしたくなってしまいます。
しかし、うがいをし過ぎることによりトラブルが起こることがあります。
それは「ドライソケット」と呼ばれるトラブルで、抜歯後に口の中の雑菌が骨に感染し炎症が起こってしまう症状です。
親知らずを抜いた後、血の塊が穴を塞ぐことで雑菌などの感染を防ぐ役割がありますが、うがいをしすぎることにより血の塊が流れてしまい、そのためにむきだしになった骨に細菌感染してしまう恐れがあります。
通常、親知らず抜歯後の痛みは徐々に引いていきますが、ドライソケットの場合はだんだん痛みが増し、激しい痛みに変わっていくことが特徴です。
抜歯後、痛みがひどくなる場合はすぐに診察を受けましょう。
ドライソケットを防ぐためには、うがいをなるべく控えることです。気持ち悪いかもしれませんが、軽くゆすぐ程度にしておきましょう。
なお、抜歯後出血が続く場合は、滅菌済みのガーゼを4つくらいに折り、キュッと強く噛んでおくと血が止まります。
通常は痛みと出血は個人差がありますが、2~4日くらいで治まってきます。
ドライソケットの詳細に関しては、「激痛の危険性!歯を抜いた後のドライソケットの原因と対策」でもお伝えしておりますのでご参考ください。
1-2. 抜歯後の痺れ
下の親知らず抜歯後に見られるトラブルです。
下の親知らずの下には太い神経が通っており、この神経に近いところに親知らずの根っこがある場合、まれに神経に触ってしまうことで舌や顎に痺れが残ることがあります。
術前にレントゲンで確認し、医師から説明があると思いますが、根っこの位置次第でこのような痺れが生じてしまう場合があります。
また、下の親知らずを抜くときは伝達麻酔という注射を打つ場合がありますが、まれに針先で神経を傷つけてしまう恐れがあり、舌が痺れるという後遺症の恐れがあります。
抜歯後いつまでも痺れが取れない場合は、速やかに歯科医師に相談しましょう。
1-3. 抜歯後の口臭
親知らず抜歯後、口臭に悩む人は多いと思います。
これまでに口臭を感じなかったのに急に臭いが気になり、歯を磨いているのに悪臭がすると感じることがあります。
抜歯後の穴に食べ物のカスが詰まる、痛みで歯磨きがきちんとできない、傷口を治すための白血球の死骸が膿となって出てくるなどといった理由です。
これは一時的なものであり、特に縫合をした場合は糸に汚れが付着するため、抜糸をすると口臭が薄くなっていきます。
対策は、とにかく清潔にすることです。
抜歯後は殺菌、消毒のためにうがい薬を処方されることが多いので、うがい薬や洗口剤を使って口の中を清潔にします。
ただしドライソケットになってしまうことがあるので、過度のうがいは禁物です。
傷口が回復し、抜いたあとの穴が塞がれていくにつれて口臭も気にならなくなってきます。
1-4. 腫れと内出血
親知らずの生え方や根っこの向きにもよりますが、歯ぐきの切開が必要なもの、親知らずを分割して抜くなど、少し難しい処置のあとなどに顎が腫れたり内出血になることがあります。
痛みがあるうちは腫れますが、日にちが経つにつれて腫れは徐々に治まり、内出血もやがて消えていきます。
抜歯後しばらく、他の歯が痛んだり違和感を感じることもありますが、これも腫れがひき、傷口が治ってくると次第に治まってくるので2週間くらい様子をみてみます。
ただし、上の親知らずを抜いた後に目の下にかけて腫れが広がった場合や、下を抜いた後に顎から首にかけて腫れが広がった場合は感染が疑われますので、早急に歯科医院で診察を受けてください。
2. おかしいと感じたら、早めに歯科医院へ
この他にも抜いたことにより支えの歯がなくなって歯が少し傾斜してしまった、噛み合わせが悪くなった、口が開きにくくなったなどのトラブルも聞かれます。
ほとんどが日にちとともに落ち着いてきますが、気になる症状がある場合は早めに歯科医院で相談してください。
3. まとめ
このように、親知らず抜歯後は様々なトラブルに見舞われがちですが、日にちと共にだんだん治癒していきます。
とにかく清潔にしておくことが大切ですが、痛みが引くどころかますます激しい痛みが続く、痺れが残るなどの症状が治らない場合は、早急に歯科医院へ受診するようにしましょう。
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