アナタのお口の中には、親知らずはありますか?親知らずには、保存すべきものと抜くべきものがあります。
判断基準は歯科医院によって様々ですが、その違いを知る事で、より良い口腔環境を作り上げる事が出来ます。
どうして違いが生まれるのか、そして抜く際の注意点も含め詳しくまとめました。
1本でも親知らずがあるという方は是非参考にしてみて下さい。
1. 親知らずとは?
親知らずは、10代後半から20代前半にかけて奥歯の一番後ろに生える歯のことをいいます。
親が知らない間に生えてくる事から、その名がつけられました。
生え方には個人差があり、元々親知らずが存在しない人もいます。
2. 親知らずの生え方と顎の関連性
歯は、人によってその生え方には違いが生まれます。歯並びが良い、悪いというのは顎の骨の大きさによって決まるもので、それは親知らずにもいえる事です。
現代人の顎の形は、昔に比べとても小さくなっており、その理由として食生活の違いがあげられます。
硬い物を多く摂取していた昔の人々の顎は、大きくて丈夫な上、口周りの筋肉も鍛えられている事から何でも噛む事が出来ました。
しかし、次第に柔らかい物を好むようになり、顎や歯を鍛える習慣が減ったと同時に骨に必要な栄養摂取も乏しくなった為、徐々に小さくなったといわれています。
2-1. 顎が小さくなった事での親知らずへの影響
歯の本数は昔も今も変わらず、成人であれば親知らずも含めると上16本、下16本の合計32本になります。
その数が綺麗に生え揃うには、それなりのスペースが必要です。
スペースとは、歯が並ぶ為の顎の骨の大きさの事をさし、大きすぎるとすきっ歯(歯と歯の間に隙間が出来る事)になり、小さすぎると叢生といって歯が重なって生えてしまいます。現代人の多くは、この叢生です。
一番最後に生える親知らずも、顎の大きさによって生え方が決まります。
他の歯のように真っ直ぐ生えた親知らずは、噛む機能がある為、他の歯と同じように残しておく価値は充分にあります。
しかしながら、斜めに生えたり、頭が少し歯ぐきから出て止まっている状態の親知らずは、対する歯との接触がなく、噛む機能が無い他、大変虫歯になりやすい事から抜くべきだと判断される事がほとんどです。
2-2. 元々親知らずが無い、その理由とは?
先天性欠損(発育段階から形成されずに歯が存在しないこと)で、親知らずが存在しない方も珍しくはありません。
先天性欠損は、他の歯にもいえる事で、上下左右と比べ1本足りない場合がこれに当てはまります。
昔と比べ多くなったといわれがちな症状ですが、実際は昔と今でそんなに違いはありません。
悪性の病気というわけでもないので、親知らずが生えてこなかった方は、虫歯の危険性が減り、抜く手間が省けたとプラスに考えていいでしょう。
3. 抜くべき親知らずの原因とその理由
親知らずは、形成され生えてくるまで、その取るべき処置内容は分かりません。
したがって、自分の親知らずが今どのような状況なのかを把握する必要があります。
生え始めの頭が一部出ている状態から、暫く経過しても変化のない場合は、何らかの原因によりそれ以上出る事が出来ずに止まっている可能性も高いので、一度歯科医院でレントゲン撮影をし確認しましょう。
斜めに生えたり、歯ぐきが中途半端に被っている親知らずを放っておくと、次のような症状が起こる危険性があります。
3-1. 手前の歯との接触点に虫歯が出来る
歯というものは、その間に隙間がない限り、必ず隣の歯と接触する部分が存在します。
斜めに生える親知らずは手前の歯の頭と根っこの境目部分に接触する事が多く、そこは歯ブラシの毛先が上手く届かない最も磨きにくい部分でもある為、とても虫歯になりやすいといわれています。
また、完全に生えきれてはいないので手前の歯に隠れて見えにくいという事も、磨き残しが出来る原因です。
その接触点が虫歯になるという事は、親知らずだけではなく手前の歯も虫歯になるという事であり、食べ物を磨り潰す為に必要な奥歯(親知らずを抜いて2本)のうち1本をみち連れにしてしまうというわけです。
抜く事で解決する親知らずとは違って、手前の歯の場合だと重度の虫歯であっても神経を取る処置を行うケースがほとんどな為、すぐに失うという事は滅多に無いですが、神経を取った歯は大変脆くなり、後にトラブルが発生しやすくなる事から、健康な歯に比べ早く失う確率はとても高いといえます。
全ての歯にいえる事ですが、たかが一本でも失うと、その歯の持つ効果は薄れてしまい、負担が他の歯にかかります。
「磨きにくい」「磨けていない気がする」そう感じたら、早めに歯科医院でチェックを行いましょう。
虫歯に関する詳細は「虫歯で悩まないために覚えておきたいこと」でお伝えしているので参考にしてください。
3-2. 親知らずを囲む歯ぐきが頻繁に腫れる
これを知歯周囲炎(ちししゅういえん)といいます。
知歯周囲炎が起こる理由は、親知らずに中途半端に歯ぐきが被っている事で、その境目に汚れや細菌などが入り込み、増殖し炎症を起こすからです。
歯周病と同じで、一度入った汚れや細菌は、歯ブラシでいくら磨いても完全にかきだす事は出来ません。
その為、風邪や疲れ気味なときなど、その人の免疫力が下がったタイミングで腫れる事が多く、飲み薬を使用しない限り一日二日では症状はおさまらないといいます。
頻繁に腫れるようであれば、その歯ぐきを切除するか、親知らずを抜くかどちらかの選択をしなければならなくなります。
4. 本当に残しておくべき?女性の“抜くべき親知らずの放置”は危険が多い
自らの親知らずがどのような生え方をしているのか把握する事の大切さの中に、将来に関係するという事も理由として含まれています。
特に女性の場合、男性とは違って、結婚後には妊娠や出産があります。
その時に、虫歯や知歯周囲炎などが起こったらどんな処置を取りますか?
いえ、正確にはどんな処置が“取れる”と思いますか?です。
歯科で使用する麻酔や薬剤は強力な物が多く、虫歯の処置や歯ぐきの切除などには必要不可欠なものでもあります。
妊娠中の女性の場合、その方に使用する薬品類は全てお腹の中にいる赤ちゃんにまで、少なからず影響はあるといわれています。
いくら虫歯や歯ぐきの腫れで痛みを感じても、それを対処するにはリスクが大きすぎて、歯科医院では責任を背負う事はできません。
将来、大切な時期に困らない為にも、前もって対策をしておく必要があります。
5. 正しい親知らずのお手入れ方法
しっかりと生え、噛む機能が充分備わっている親知らずは、残しておく価値があります。万が一、手前の歯を失ったときにも、もう一本の奥歯と被せ物で繋げる事で、奥歯3本の役目を果たす事が出来ます。
しかし、その為には虫歯の無い丈夫な歯でなければいけません。
正しいお手入れ方法を把握し、万が一のときに備えて丁寧に管理しましょう。
5-1. 歯と歯ぐきの境目をしっかりと磨く
対する歯が存在する場合、噛む機能はあるといえます。
物を噛む事は、噛み合せ面の汚れを除去する役目もある為、溝を数回歯ブラシで擦るだけで充分キレイになります。
しかし、歯の横の面や歯の根元である歯ぐきとの境目は、噛む事による清掃効果は全く無い事から、意図的に汚れを取る必要があります。
歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの境目に軽く食い込ませて磨いて下さい。
そうする事で、磨き残しが減り、知歯周囲炎の予防にも繋がります。
5-2. 歯ブラシに+αを
一番奥にある親知らずは、顎の骨の形によっては、歯ブラシの頭が上手く入らない事もあります。
上手く入らないという事は、しっかり毛先が当たらない可能性もありますので、歯ブラシだけではなくその他の道具も使用しましょう。
1本ずつ磨くタイプの歯ブラシや、毛先が小さくまとまっている物を用意し、それを使用して親知らずの歯と歯ぐきの境目を丁寧に磨いて下さい。
歯ブラシだけでなくこのような補助用具も歯科医院では数多く取り扱っております。
使い方の相談も含め、一度歯科医院で確認してみることをお勧めします。
まとめ
他の歯と違って、親知らずには抜くべきタイプも存在し、それを放置する事は多くのトラブルを発生させます。
自分の親知らずがどのタイプなのかを把握し、適切な対処を行ってください。
また、親知らずがまだ生えていないという方もレントゲンにより、その成長過程を確認する事が出来るので、対策として十分効果的です。
歯というものは痛みを感じた時には重症な場合がほとんどです。
後々後悔しない為にも、是非一度歯科医院でのチェックをオススメ致します。
定期的なチェックがきっとアナタのお口を健康で丈夫なものにしてくれますよ。
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