インプラントのメリットとデメリット

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あなたはインプラントをご存知ですか?

失った歯の代用となるインプラントですが、昔に比べだいぶ経験者は多くなりました。

しかし、インプラントの良い点だけを捉え、注意点や危険性を知らずに処置を望む方も少なくないのが現状です。

安心して処置を受ける為にも、把握しておくべきそのメリットとデメリットについて、今回は詳しくまとめてみました。

将来、インプラントを考えているという方は是非参考にしてみて下さい。

1. インプラントとは?

インプラント治療を検討する男性

インプラントとは、歯を支える顎骨に土台となるボルトを打ち込み、それを人工の歯と繋げる事で、歯としての役目を作る処置です。

歯科以外にも「インプラント」という単語は使われており、医療界に於いてはデンタルインプラントはインプラント全体のごく一部に過ぎません。

このことから歯科でのインプラントは正しくは「デンタルインプラント」と表記されます。

インプラント(implant)とは、体内に埋め込まれる器具の総称である。
医療目的で広く行われ、失われた歯根に代えて顎骨に埋め込む人工歯根(デンタルインプラント)、骨折・リウマチ等の治療で骨を固定するためのボルトなどがある。

引用:https://ja.wikipedia.org/

歴史は古く、紀元3世紀頃のヨーロッパが始まりといわれています。

しかし、当時のインプラントは現在のようにチタンのボルトを使用していたわけではなく、鉄や金、エメラルド、サファイア、アルミニウムなど様々な材料を使い、行われていました。

どれも長期に渡る使用は不可能で、研究を重ねた結果、1952年にチタンが顎骨と結合するという事が発見されたといわれています。

2. インプラントのメリット

歯が綺麗な女性

インプラントのメリットは数多くありますが、一番の魅力は“再現力”でしょう。

骨に直接土台を埋め込んでいる為、安定感があるのは勿論の事、その使用感も天然の歯と変わらないといわれています。

歯を失った際に行うブリッジや入れ歯と比べたときのメリットを以下にまとめました。

2-1. 取り外しが無い

入れ歯のように取り外しが無いインプラントは、食事中に外れたりする事がなく、硬い物であってもしっかり噛む事が出来ます。

また、入れ歯特有の異物感が無い為、味覚や食感、舌触りなどの邪魔にならない事から、食事を楽しみたいと思う方には最適な方法といえます。

2-2. 虫歯にならない

歯の代わりとなる頭の部分とその根っことなる土台も含め、全てが人工物のインプラントは、ブリッジのように天然歯との境目からの虫歯になる等の危険性がありません。

2-3. 他の歯の負担にならない

ブリッジは、失った部分の両サイドの歯を削り、そこに繋がった被せ物をする事で完成します。その為、両サイドの歯が虫歯であっても無くても必ず削らなければなりません。

一方、インプラントは失った部分のみを歯として再現する為、両サイドの歯を削る必要性はなく、見た目も他の歯同様、白く自然に仕上げる事が可能となります。

3. インプラントのデメリット

歯医者に行くか悩む女性

取り外しが無い上に、虫歯にならない。そして、天然歯と同じように利用できるインプラントですが、勿論デメリットも存在します。

インプラントをお考えの方は、後々のトラブルを避ける為にも、必ず把握しておく必要があります。

3-1. 費用が高額

入れ歯やブリッジなど保険対象となる処置とは違い、インプラント処置は自費になります。

金額は歯科医院によって様々ですが、全国的にみて1本につき約30~45万円といわれており、精密検査や診断料、処置代、材料費やメンテナンス料など全ての過程を含めた金額がそれに当てはまります。

支払い方法は、一括であったり分割で支払える場合もあるなど歯科医院で違ってきますので、インプラント処置を受ける際には前もって確認しておきましょう。

3-2. 完成するまでにかかる時間が長い

インプラントは、処置前の説明から完成に至るまでに多くの時間を必要とします。

入れ歯やブリッジのように外部で行う処置ではなく、歯ぐきの中の骨を触るインプラント処置は、手術の1つであり、事前の検査を精密に行うのは勿論の事、経過観察をしながら処置をすすめる必要があります。

土台を骨に埋め込む手術を行った後、土台が骨と結合するまで触ることは出来ません。

骨の質や状態によっても結合できる確率は変わり、うまく結合できない場合はグラグラとして安定感の無い状態が続きます。

安定感のない土台では使いようが無い為、再手術で骨から取り出し、場合によっては期間を置いて再度埋め込む事もあります。

結合の失敗は、術者の技術の他にも、歯を失った要因も大きく関係してくるという事を覚えておきましょう。

ぐらつきの無い丈夫な土台ができた後は、歯となる人工歯をその上に合わせ、インプラントが完成します。

3-3. 歯周病に要注意

インプラントは、虫歯には一切なりませんが、それを支える歯ぐきや骨の病気である歯周病には十分注意しなくてはなりません。

虫歯にならないからといって口腔内を不衛生な環境にしておくと、歯ぐきが腫れ、菌が内部で増殖し、骨を溶かし始めます。

それにより、インプラントがぐらつき、最悪の場合使い物にならなくなり、再手術で取り除くというケースも少なくありません。

また、菌の感染により失った骨の部分は、大変脆くなり、完全に元通りになる事が無い為、インプラントの再処置が難しくなります。

歯周病の詳細は「放っておくと怖い!歯周病がもたらす人生の落とし穴」でも詳しく書いていますので参考にしてください。

3-4. 骨の状態に左右される

インプラントをする上で最も重要な点が“骨の状態”です。

土台を支える丈夫な骨が無ければインプラントはまず出来ません。

骨を失う要因として、事故や虫歯、歯周病など様々なケースがあげられますが、菌の感染となる虫歯や歯周病の場合は、インプラントをする上でのリスクも、おのずと高くなります。

特に歯周病は、菌によって骨が溶かされる病気である事から、重度になればなるほど、インプラントという選択は出来なくなります。

お金があるから出来る処置では、決してありません。

4. 骨の状態が悪いとインプラントが行えないその理由とは?

骨が脆いと、土台が上手く支えられずにぐらつきが生まれる事から、インプラントの成功率が下がるという事はインプラントのデメリットで十分ご理解頂けたかと思います。

しかし、インプラント処置が行えない理由はそれだけではありません。顎の骨は、上下の作りが全く違っており、どの部分を処置するかでもリスクは変わってきます。

土台となるインプラントには、長さがあり、それが危険性なくおさまるだけの骨の面積が必要不可欠です。

では、顎の骨を上下に分けてインプラントとの関連性をみていきましょう。

4-1. 上顎で行うインプラント

インプラントを行う部位として最も多い奥歯ですが、上顎の場合、上顎洞という空洞(蓄膿症になった際に膿が溜まる穴)が存在する事から骨量は少ないといわれています。

上顎の骨は下顎に比べて軟らかく、歯が抜けると同時に急速に骨吸収をおこし、骨量は減っていきます。

骨量が減った面積に無理にインプラント処置を行うと、インプラントが骨に留まらず上顎洞まで突き抜ける事もあり、大変危険です。

4-2. 下顎で行うインプラント

下顎には、下歯槽神経という大きな神経が通っており、その神経を傷つけると顔面麻痺を起こす危険性があります。

健康な人の場合、歯根と下歯槽神経の間には十分なスペースがある為、歯を失ってもそのリスクはあまり存在しません。

しかし、歯周病などで骨の面積が少なくなり、下歯槽神経が近くなると、使えるスペースが無い事からインプラント処置は行えません。

親知らずの抜歯時にも下歯槽神経の損傷は重要視されており、傷つける事によって起こる顔面麻痺は、最悪の場合一生続くものとなります。

5. 事前の検査の大切さ

歯科検診を受ける男性

インプラントのデメリットや危険性が数多く存在する事から、より安全で確実な処置を行うには事前の精密な検査が必要不可欠である事がいえます。

多くの一般歯科で撮影できるパノラマレントゲンは、二次元の平面画像で、口腔内全体を写し、虫歯や歯の傾き、下歯槽神経の位置などを大まかに把握する為のものです。

その為、インプラント処置を行う上での情報としては不十分で、水平、垂直、斜めと三次元に確認できるCT撮影を行う必要があります。

一般歯科医院の取り扱いは多くないので、インプラント専門の歯科医院を利用するか、大きな病院へ行き撮影する事になるでしょう。

手間はかかりますが、CT撮影の情報も含めてインプラントが可能かどうかの判断ができ、処置の成功率も変わってきます。

6. 定期的なメンテナンスの必要性

虫歯の進行防止や口腔内の衛生管理には欠かせない定期チェックですが、これはインプラントであっても同じです。

虫歯とは違い、骨を使用して行う為、個人の判断で保つのは大変危険であり、トラブルの原因ともなります。

骨の状態や安定性などを確認する為にも、必ず定期的にメンテナンスを受けましょう。

インプラントの清掃も専用の機械や道具を使う事により行えますので、歯周病防止にも繋がります。

 まとめ

インプラントは大変便利な物ですが、デメリットや危険も多く存在します。

それらを把握する事で、より長期に渡る使用が実現可能となりますので、無駄にしない為にも情報として頭に入れておきましょう。

料金や期間については、歯科医院により異なりますので必ず事前の確認を行ってください。

あなたにとってインプラントが良い結果に繋がりますように。

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歯科ペディア

「歯の健康を保つ応援メディア」歯科ペディアです。 歯科医師監修のもと、歯科業界の現場で活躍している方がライターとして記事を執筆、情報を発信しています。
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