歯の定期健診の案内を受けたとき、あなたはきちんと健診を受けるようにしていますか?
「なにも気になることはないし、時間がないから」などとそのままにしてしまうことはありませんか?
歯の定期健診を受けることで虫歯や歯周病などの早期発見はもちろん、全身の健康を守ることができるのです。
ここでは定期健診を受けることによるメリットと、受けないことによるデメリットなどを中心にお話します。
歯の定期健診を受ける目的とは?
歯の定期健診は、なぜ受ける必要があるのでしょうか。
虫歯などで悪くなった歯を治療し、治すために行く人がほとんどでしょう。でもそれはゴールではありません。
健診を受ける目的は、今ある歯を悪くせず、大切に保つこと、すなわち歯の病気などのリスクを抑えることです。
また、歯は体の健康と大きな関わりがあり、歯の定期健診を受けることで併せて体の健康も守ることで、さらなる相乗効果が期待できるのです。
1.歯の定期健診の内容とは?
では、歯の定期健診ではいったいどんなことが行われるのでしょうか。
定期健診の内容は歯科医院によって多少の相違がありますが、主な内容は次のとおりです。
1-1.生活習慣、健康状態などの確認
まず問診表などを使い、生活習慣や健康状態、飲んでいる薬などを確認します。
特に喫煙は、歯の汚れだけでなく歯周病や生活習慣病にも大きく関わるため、歯科医師や歯科衛生士から指導が入る可能性があります。
また、口腔内で気になることはないかなど、現在の状態を把握してもらいます。
1-2.歯周ポケットの検査
健診項目の中に、歯周ポケットの深さを測る検査があります。
歯周ポケットは、歯と歯肉の間の隙間を測ることで、健康な歯肉か歯周病の兆候があるかどうかを判別します。
また、歯ぐきからの出血の有無、歯が揺れ動いていないかどうかも検査します。
1-3.歯石除去、PMTCなど歯面の汚れなどを落とす
順番は歯科医院や歯科衛生士によって前後しますが、ここから歯石除去や歯の汚れ除去などを行います。
歯石は超音波スケーラー、ハンドスケーラーという器具を使い、歯に付着した歯石をていねいに取り除いていきます。歯石は虫歯菌や歯周病菌など細菌の温床となるため、丁寧に取り除く必要があります。
また、専用の歯みがき粉やペーストなどを使い、特殊なブラシで歯の汚れを落とすPMTCも行われます。
PMTCは、家庭での歯みがきでは落とすことが難しい汚れを取り除くことができます。このPMTCを行うことで、歯周病になるリスクを抑えることができます。
その他、デンタルフロスや歯間ブラシなど、必要に応じた口腔ケアグッズを使い、歯や口の中を綺麗にします。
詳しくは、「歯周病にならないために/歯の健康を守る歯石除去とは」もご参考ください。
1-4.歯科医師による口腔内チェック
歯科医院により順序が異なりますが、歯科医師による口腔内チェックを行い、虫歯や歯周病がないかなどを確認し、虫歯などのトラブルが見つかると次回から治療という流れになります。
2.歯の定期健診にかかる費用と期間
2-1.歯の定期健診は保険適用?
歯の定期健診そのものは自費扱いとなります。
口腔内に異常がないか確認するために健診を受け、特に問題や疾患がない場合、保険適用ではなく自費となります。
歯周ポケット検査なども必須ではなく、希望しなければ受ける必要もありません。
クリーニングなどをはじめとした予防処置がメインとなるため、希望によりフッ化物塗布やリナメルなどを使用することができます。
自費治療のため、費用は歯科医院により異なりますが、5,000~15,000円くらいが相場でしょう。一方、定期健診で治療が必要と判断された場合、次回から保険が適用される場合があります。
歯周病などの疾患が確認された場合、歯周ポケットの検査なども保険適用で行われ、メンテナンスで使うことができる薬剤なども限りが出てきます。
保険適用の場合、3割負担で3,000~4,000円程度ですが、歯の本数や口腔内の状態により相違があります。
2-2.定期健診を受ける期間は
定期健診の期間は口腔内の状態により個人差がありますが、3~6ヶ月に1回が一般的です。
これは、メンテナンスで除去したプラークや歯石が再び付着し始めるのが3ヶ月後くらいと言われており、歯周ポケットに溜まる細菌の数もメンテナンス前の数に戻るというデータから、3ヶ月に1度のメンテナンスが望ましいでしょう。
歯石がつきやすい人などは2か月に1度にメンテナンスを行うなど、口腔内の状態により期間は異なります。
担当医や歯科衛生士と相談し、ご自身の状態に合わせたメンテナンス期間を決めることになります。
3.歯の定期健診を受けないことによるデメリットや歯の病気のリスクとは?
歯の健康を守り、トラブルの早期発見など、メリットの多い定期健診ですが、受けないことで様々なトラブルが生じる可能性があります。
それは歯だけでなく、全身の健康に影響を与えるものがあります。
3-1.虫歯の再発
虫歯治療で保険適用の素材を使った銀歯は、二次カリエスと呼ばれる虫歯になる確率が非常に高くなります。
これは金属の詰め物や被せ物の隙間から虫歯菌が侵入し、内部で虫歯が広がってしまう、いわゆる虫歯の再発の状態を言います。
定期健診を受けないことで、二次カリエスや新たな虫歯の早期発見、早期治療を逃してしまうことになります。
詳しくは、「再び虫歯にならない為に/二次カリエスの原因と対策3選」もご参考ください。
3-2.歯周病の進行
歯周病は、ほとんどの場合痛みなく進行していきます。
歯ぐきの腫れや歯みがき時の出血など、歯肉炎でも見られる症状が実は歯周病ということがあり、そのまま放置しておくことで歯周病菌が繁殖し、どんどん悪化していきます。
「歯が動き始めた」という状態で慌てて歯科医院へ駆け込んだときにはかなり歯周病が進行していることもめずらしくありません。
歯周病は家庭でのセルフケアだけでなく、定期健診を受けることで早期発見や治療、適切なアドバイスで改善を促し、進行を遅くすることが可能です。
定期健診を怠ることは、自ら歯周病を希望しているようなものと言えるでしょう。
3-3.噛み合わせなどの異常
「最近頭が痛い」「肩凝りが酷くて・・・」「顎が痛い気がする」などの症状を感じることはありませんか?
内科的な疾患がない場合、噛み合わせが原因と考えられる可能性があります。定期健診で確認し、噛み合わせに問題がある場合、適切な調整を行うことで症状が改善されることがあります。
噛み合わせは歯だけでなく、全身にも大きな影響を及ぼすため、このような不快症状の原因が定期健診でわかることがありますが、受けないことで原因が特定できず、いつまでも不快症状に悩まされることも考えられます。
3-4.舌など口腔内全体の異常
定期健診を受けることは、歯の状態だけを確認するわけではありません。口腔内全体の状態を確認し、舌や歯ぐき、粘膜などに異常がないかどうかも確認します。
特に舌は体の異常のサインを表し、その中に思わぬ病気が潜んでいることがあります。このようなサインを見逃さないようにすることが、定期健診の重要な役割なのです。
4.歯周病と全身疾患の関係
数ある歯と口腔内のトラブルの中でも、特に歯周病は生活習慣病と深い関係があります。
歯周病に罹患することで、糖尿病、細菌性心内膜炎、心筋梗塞、脳梗塞などの他、妊娠中の女性は早産、低体重児出産などのリスクが高くなります。
歯周病は早期治療と定期的な歯石除去やクリーニングが欠かせません。そのまま放置することで、糖尿病などの持病が悪化するほか、新たな全身疾患を引き起こしかねません。
そのようなことにならないためにも、定期健診をきちんと受けて口腔内の状態を整えておく必要があります。
5.歯医者で定期健診を受診することの大切さ
このように、歯の定期健診を受けることは歯と口腔内の健康だけでなく、全身の健康にも大きく関わります。
歯は失ってしまったら二度と元には戻りません。
生涯自分の歯で食事を行うためにも、定期健診をしっかり受けるようにしましょう。
麻美 とうこ
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