妊娠すると、お腹の赤ちゃんへの影響を考えて歯医者さんで治療は受けられるのか躊躇してしまうお母さんもいらっしゃるかと思います。
今回は、妊娠期に歯医者さんで治療を行うことができるのか、また、大事な赤ちゃんを虫歯のない歯にするためのミニ知識をこれからお伝えします。
目次
1.妊娠の時期・いつ受診すれば良い?
妊娠は、妊娠初期から中期、後期と3つの時期に分けられます。妊娠初期は、まだ不安定な時期です。
また、つわりがあるのもこの時期です。口の中に器具が入ることや、背もたれが倒れることでも気分が悪くなる場合もあるでしょう。この時期は、不安定な時期ですので、無理をしないようにしましょう。
妊娠中期は、安定期とも呼ばれ治療をするには良い時期といえます。気になる虫歯は、安定期に治してしまいましょう。
妊娠後期は、治療の内容によっては、早産を促進してしまう可能性があります。無理はせず、出産後に治療をするのが安心です。
2.妊娠中の歯の治療内容・どの治療でも受けられる?
歯の治療と一言で言っても、治療の内容は多岐にわたります。歯のクリーニングや虫歯の治療、歯周病治療、虫歯の治療でも初期虫歯から神経を取る治療、歯の根の治療など様々です。
歯のクリーニングは、口を開けていることに疲れたり、気分が悪くなった場合でも途中でやめたり、体調と相談して少しずつ行っていくことも可能です。
妊娠のどの時期でも比較的安心して受けられる処置の一つです。ご自身の体調の良い時に受けると良いでしょう。
一方注意が必要なのは、痛み止めや化膿止めなどの薬の服用です。特に、妊娠初期は薬の影響を受けやすい時期なので治療後に痛みの出やすい、親知らずの抜歯や、神経を取る虫歯の治療などは、緊急時以外は避けた方が良いでしょう。
薬を飲むことも、それを我慢することもお腹の赤ちゃんへ悪影響といえます。
また、麻酔は通常の量だと問題ないといわれていますが、麻酔薬を妊娠後期に使用すると早産を促すことがありますので、注意が必要です。
3.妊娠中のレントゲン写真は大丈夫?気になる赤ちゃんへの被ばく
妊婦さんがよく心配されるのは、レントゲン撮影による被ばくです。
しかし、歯科のレントゲン写真は被ばく量が大変少ない為に、被ばくの影響は極めて少ないので必要があれば撮影しても問題ありません。
ただ、どうしても心配な方は、その旨を伝えると無理に撮影することはありませんので、安心してください。
4.妊娠期は、歯茎が腫れる?
妊娠中は、ホルモンの関係で歯茎が腫れやすい傾向にあります。
しっかりと日常的にケアが出来ている方の多くは問題ありませんが、歯ブラシが上手でない方は、妊娠期は得に注意して丁寧に磨くようにしましょう。
5.授乳中の歯科治療・妊娠期のように注意が必要?
授乳中の歯科治療は、何も問題ありません。しかし、お薬は注意が必要です。
母乳から赤ちゃんへお薬の影響が出ることが考えられるからです。授乳中は、お薬をさけるか、お薬を飲む前に授乳をすませておいて、その後は粉ミルクに切り替えると安心です。
授乳中であることを、治療前に歯医者さんに伝えておきましょう。
6.妊娠・出産すると歯がボロボロに?
よく、妊娠・出産をすると赤ちゃんに栄養が取られて、歯がもろくなったという方がいらっしゃいますが、それは迷信です。
妊娠出産をしても、歯はもろくなることはありません。
しかし、妊娠中のつわりで歯磨きが十分にできなかったり、出産後の育児で自分のことにまで手が回らず歯ブラシがなかなかできなかったり、食習慣や食事のタイミングが変わることで、妊娠や出産を経て虫歯や歯周病になりやすくなるといえます。
つわりで磨けない時は、こまめに口をゆすいだり、ジュースではなくお水や無糖のものを飲んだり、歯ブラシのヘッドが小さなものを選んでみるのも良いかもしれません。
7.虫歯は赤ちゃんにうつる?
生まれたての赤ちゃんのお口の中には、虫歯の菌はいないといわれています。
赤ちゃんが育つ過程で、家族や身の回りの人の虫歯の菌が感染することで、菌が定着してしまいます。
口移しや、同じ箸やスプーンを使うのは避けましょう。
また、ご両親のお口の中を綺麗にしておくことも、最低限必要でしょう。
赤ちゃんの歯に関する詳しいことは、「赤ちゃんの歯に関してこれだけは知っておくべき5つのこと」でもお伝えしているので参考ください。
8.赤ちゃんを虫歯にさせないためにすること
赤ちゃんの歯はいつから生えてくるかご存知ですか?
個人差はありますが、だいたい半年くらいから下の前歯が生え始めます。すべての歯が生えそろうのは2歳半ごろです。
歯が生え始める頃には、歯茎がムズムズし始めますので、赤ちゃんはお口の中が気になり始めます。その頃を見計らって、シリコン製の赤ちゃん用の歯ブラシを使用してみましょう。
いきなり歯ブラシを使っては、赤ちゃんも驚いて嫌がってしまいます。赤ちゃん用の歯ブラシを使いながら少しずつ馴らしてあげるのが良いです。
また、歯が生え始めたらフッ化物も始めましょう。フッ素はほんの少量で大丈夫。
生え始めの歯は、フッ素によって丈夫な歯になります。ドラックストアなどで市販のものがありますので、塗ってあげましょう。
9.乳歯は抜けるから、虫歯になっても大丈夫?
乳歯は、どうせ抜けて永久歯が生えてくるし、万が一虫歯になっても大丈夫よね?なんて思うのは大間違いです。
乳歯が虫歯になってしまうことで、後に生えてくる永久歯も形態不全などきちんとした歯が生えてこないことがあります。
また、永久歯に生え変わるのは、12歳頃。乳歯は、永久歯に生え変わるまで、食べ物を食べ飲み込むという栄養を取るための大切な歯です。
歯ブラシが自分で出来ない小さな子供の歯の健康を守るのは、他でもないご両親です。乳歯の頃から、仕上げ磨きなどをして永久歯に続く乳歯を大切にしてあげてくださいね。
10.まとめ
妊娠期の歯科治療は、時期や薬に気を付ければ、問題なく処置を受けることが出来ます。
安心して歯医者さんへ行ってみてくださいね。また、その時には母子手帳を持って妊娠中であることを歯医者さんにきちんと伝えることも大切です。
また、定期的な歯医者さんでの健診も大切です。定期的にクリーニングすることで、歯周病を予防したり、ご自身では気づけない初期虫歯も発見することができます。
ぜひ、気軽に歯医者さんへ行ってみましょう。
石田かすみ
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