歯を失う2大原因は虫歯と歯周病であることは既にご存知でしょう。
虫歯と歯周病では発症メカニズムは異なるものの、どちらも原因はプラークです。プラークの存在が虫歯や歯周病の原因であるならば、プラークの元になる食べかすを取り除けばよい話です。
でもあなたは本当にきちんと歯の汚れを落とせているでしょうか。
毎日歯を磨いているのに、虫歯や歯周病になるのはなぜ?
「毎日毎食後ちゃんと歯磨きしているのに歯周病になった」「私は長い時間歯磨きをしているのに虫歯ができた」。
このような経験をお持ちの方はいらっしゃいませんか。
虫歯や歯周病になるのはそれなりの原因があり、そのほとんどがプラークによるものです。もちろんエナメル質が弱い、唾液の質など他にも原因が考えられますが、虫歯と歯周病の原因はプラークが引き起こします。
口腔内には非常に多くの細菌が存在し、食べかすをエサとしてプラークを作り出して歯に付着します。虫歯菌の代表格はミュータンス菌とラクトバチラス菌いう細菌です。
特にミュータンス菌は虫歯の発症に関わり、食べかすの中にある糖質を好んで酸を作り出し、歯の表面を溶かして脱灰状態を作り出します。このまま脱灰が進むと虫歯が進行してしまいます。
歯周病は歯を溶かす虫歯とは異なり、歯ぐきをはじめとした歯周組織に炎症を引き起こします。
虫歯は歯そのものに症状が出ますが、歯周病は歯周組織の炎症のため、歯ぐき全体が腫れていることが多いです。
歯周病菌にはいくつかの種類がありますが、プラークに棲みついて毒素を作り出し、歯ぐきの炎症、歯槽骨の破壊などを引き起こします。
歯周病に関しては、「実は恐ろしい!歯周病が引き起こす病気と全身への影響」をご参考ください。
「ではプラークを作らないために歯を磨けばいいでしょう」ということになりますが、歯を磨いても虫歯や歯周病になる人は、磨いただけで実は「磨けていない」ために症状が出てしまうのではないでしょうか。
「磨いた」と「磨けた」は大きな違い
磨き残しが多い部分として「歯と歯ぐきの境目」「歯と歯の間」があります。上下の前歯は比較的きれいに磨けますが、小臼歯から大臼歯にかけて歯ぐきとの境目や歯間に磨き残しが目立ってきます。
ここがプラークの付着部分であり、そのまま放置することで虫歯や歯肉炎などを引き起こしてしまいます。
特に歯並びが悪くデコボコとした歯列の人や、歯列矯正中でブラケットやワイヤーを装着している人は歯磨きがしにくくプラークが溜まりやすくなり、虫歯リスクが高くなってしまいます。
小さな子どもは保護者に仕上げ磨きをしてもらう習慣がありますが、大人は自分でブラッシングを行います。
では正しいブラッシングできちんと磨けているでしょうか。子供に行うような仕上げ磨きの習慣が大人にはないため、つい雑になってしまっていませんか。
いくら毎食後歯を磨いても、歯磨き粉をつけて歯の表面をさっと磨いただけではまずきちんと磨けていないでしょう。
プラークは主に歯と歯ぐきの境目や歯と歯の間に付着します。歯と歯ぐきの境目に歯ブラシの毛先を当て、小刻みに歯ブラシを動かしながら一本ずつ丁寧に磨くことが正しいブラッシングの基本です。
これが「磨けた」ということであり「磨いた」との差はその後の口腔内の状態に現れ出るのです。
「プラークチェッカー」の活用で磨けたかどうかを確認する
Ci プラークチェッカー(歯垢染色液) / 1本(50ml)
ではきちんと磨けたかどうかはどうやって確認するのでしょうか。
磨き残しがないかどうかは「プラークチェッカー(歯垢染め出し液)」を使って確認することができます。
幼稚園や小学校の歯科検診で歯に赤い液体をつけて歯磨きをした記憶はありませんか?
これを大人になっても活用することで、正しく磨けているかどうか確認することができます。鏡を見ながらプラークチェッカーを使って染め出されたピンク色の部分、つまり磨き残しの部分を丁寧に磨いていくのです。
プラークチェッカーには色々な種類があり、液体タイプのものやジェルタイプ、綿棒タイプや錠剤タイプなどがあり、使いやすいタイプを選ぶと良いでしょう。
味もイチゴ味をはじめとしたフルーティーなものが多く、小さなお子さんから大人まで幅広く使える仕様となっています。
気になる成分ですが、販売されているものは安全性が確認されており、心配なく使うことができます。
ただしアレルギーをお持ちの方はメーカーに問い合わせたほうがよいでしょう。また衣服につくと取れないので、取り扱いには注意が必要です。
プラークチェッカーの効果的な使い方
一般的なプラークチェッカーの使い方として歯磨き後、プラークチェッカーを歯に付けて全体に行き渡るようにして軽くうがいをし、歯がピンク色に染まっている箇所がないかどうか確認します。
歯にピンク色が残っていると、そこは磨き残しのサインです。磨き残しの部分を丁寧に磨いていくことで、残った汚れをきれいに落とすことができます。
時間がある場合、もう一度染め出してみて本当に汚れが落とせたかどうか確認してみてもよいでしょう。
効率のよい方法として、最初からプラークチェッカーを使って綺麗に磨くという方法もあります。
ほぼ全体がピンク色に染まっている状態なので、丁寧に磨いて染め出された部分をきれいにする方法は効果的とも言えます。
また小さなお子さんがいる家庭では、親子で一緒に行って習慣づけるのもよいでしょう。
このようにプラークチェッカーを使うことで汚れを視覚的に確認し、正しいブラッシングとプラークを溜めないという意識が芽生えることで、口腔内の健康に対するモチベーションが上がることが期待できます。
フロスやワンタフトブラシなどを活用する
デンタルフロスのイメージ写真です。
歯の汚れを落とすグッズは歯ブラシだけではありません。歯科医院で特に推奨するのはデンタルフロスです。
フロスは歯ブラシの毛先では落としきれない歯と歯の間の食べかすや汚れをきれいに掻き出すことができます。
フロスにも様々なタイプがあり、適度な長さに切って指に巻きつけてつかうものやハンドルタイプのもの、歯列矯正中の人向けの特殊な形状のものなどがあります。使いやすいものを選んで是非活用して下さい。
歯と歯の間の汚れがやがてプラークを形成してしまいます。プラークになる前にしっかり掻き出しておきましょう。
ワンタフトブラシも細かい汚れを落とすのにとても適しています。小さな山のような毛束は歯を一本一本磨くのに便利です。
特に歯と歯ぐきの境目や、歯の裏側を丁寧に磨くのには通常の歯ブラシよりもずっと使いやすく、ピンポイントで汚れを落とすことができます。
最初は面倒と思うかもしれませんが、ワンタフトブラシは丁寧に磨くことができるため一日一度、時間があるときに是非使うようにして下さい。
プラークを作らない口腔内環境づくりを意識しましょう
プラークは約8時間で形成されると言われており、プラークが形成される前にブラッシングを行うことが望ましいでしょう。
口腔内は非常に多くの細菌が存在するため、細菌がいる限りプラークは作られます。そして口腔内の衛生を保つためには正しいブラッシングに加えて細菌を洗い流す唾液も大切になります。
唾液を分泌させるようにキシリトールガムを噛むと効果的です。そして歯科医院での定期健診やクリーニングは必ず受けるようにして下さい。
どんなに毎日頑張って歯を磨いてもプラークは作られます。歯の健康を守るために、家庭でのセルフケアと歯科医院での定期健診が、あなたのお口の中の健康寿命を支えるのです。
麻美 とうこ
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