突然やってくる歯の痛み。
仕事が忙しかったり、海外への旅行中など、すぐに歯医者さんへ行けない状況でそれが起こるかもしれません。
今回は、個人でおこなう歯の痛みを軽減する方法について詳しくまとめました。
間違ったやり方は痛みをより強くする恐れもありますので注意しましょう。
1. まずは痛みの“原因”を調べる
歯の痛みを感じるケースは、「虫歯」「歯の破折(はせつ)」「知覚過敏」と大きく分けて3つあります。
神経の存在する歯であれば全て原因として考えられますが、神経を失った歯であれば「歯の破折」または3つ以外の「根尖病変(こんせんびょうせん)」を発症している可能性もあります。
また、歯が痛いと感じていても実際は「歯茎」に問題がある場合もあり、歯周病で歯茎の腫れや出血が酷いと痛みを生じます。
2. “どんな時に痛むのか”を調べる
痛むタイミングを知る事で、原因をより明確にできます。
そのときの状況や痛みの種類も含め、しっかりと覚えておきましょう。
2-1. 冷たい物や熱い物がしみる
温度差のあるものを口に含んだ際に痛みを感じるのは、「虫歯」あるいは「知覚過敏」が考えられます。
熱い物がしみる症状は、虫歯の場合であれば神経付近まで感染がすすんでいる場合があるため、早めの処置が必要です。
2-2. 噛むと痛い
咀嚼(そしゃく)時の痛みは、「虫歯」「歯の破折」「歯周病」「根尖病変」など様々な原因が考えられます。
ガムやキャラメルなど、粘り気のある物や歯の隙間に染み込みやすい物を食べたときに発生する痛みは、虫歯が原因である可能性が高いですが、それ以外の物でも痛みが発生する場合は、破折や歯周病、根尖病変が疑われます。
2-3. 歯磨きをすると痛い
歯ブラシの毛先が触れることで生じる痛みは、「知覚過敏」あるいは「歯周病」が考えられます。
歯周病の場合であれば、歯と歯茎の境目を丁寧に磨くことで、歯茎の腫れや出血は一週間もすればおさまりますが、知覚過敏である場合は、磨き方によっては更に痛みを悪化させる恐れがあります。
痛みが強すぎて歯ブラシも当てられない状況になると、歯の神経を取らなければならなくなる事もありますので注意が必要です。
2-4. 激痛を感じる、常に痛い
頻繁に痛みを感じたり、痛みを感じる間隔が長い、また強い痛みがある場合は、「重度の虫歯」あるいは「根尖病変」が考えられます。
虫歯の進行が神経付近まで達すると、痛みは頻繁に出やすくなり、ドクドクとした脈打つような痛みが長時間続きます。
根尖病変では、排膿がある場合とない場合で痛みの種類が異なり、排膿があれば中に溜まる圧が少なくなるため強い痛みは出ないケースが多く、そのかわりに、噛んだときの違和感やズーンとした重い痛みがあらわれる事があります。
反対に、排膿が見られない場合は、中で圧がかかり突然立っていられないほどの強い痛みが起こる恐れがあります。
3. 痛みを軽減する方法
痛みは、何らかのトラブルが起きているというサインである事から、早めに歯医者さんで診てもらうに超したことはありません。
「今すぐは無理…。」という方のために、歯医者さんへいくまでの間におこなう緊急処置を原因別にご紹介致します。
痛みがひいても完全に治ったわけではありませんので、その後必ず歯医者さんへ行くようにして下さい。
3-1. 「虫歯」によるズキズキ、ドクドクとした痛み
その部位を冷やす事で、痛みは軽減されます。
方法としては、氷を入れた袋をタオルで包み、頬に当てます。
ドクドクとした脈打つような強い痛みがある場合は、直接氷を口に含むと良いでしょう。
熱い物を口に含むと、痛みが増す恐れがあり危険です。
強い痛みを放っておくと、次第に何も感じなくなりますが、細菌によって神経が壊死した可能性が高く、更に放置することで歯の破折や根尖病変など様々なトラブルを引き起こします。
3-2. 「知覚過敏」によるしみる痛み
食事の際は、できるだけ温度差のあるものを避けましょう。
また、知覚過敏の根本的な原因は歯や歯茎の摩耗である事から、普段のお手入れ方法を改善する必要もあります。
磨く力が強い、歯ブラシを動かす幅が広いなどは、知覚過敏を発症・悪化させる磨き方です。
毛の硬さが普通の歯ブラシを用意し、歯と歯茎の境目を強すぎない力で細かく磨きましょう。
歯科医院では、専用の薬を歯の表面に塗り、知覚過敏の症状を抑える事ができます。
痛みが悪化すると、虫歯でなくても神経を取らざるを得なくなりますので、早めに対処しましょう。
3-3. 「歯の破折」や「歯周病」による噛んだときの痛み
歯の破折や重度の歯周病がある場合、噛むことで歯の位置がズレて歯茎を圧迫し、痛みを生じます。
よって、できるだけその部位を避けて食事をするしかありません。
歯科医院での治療では、歯の破折は抜歯になる可能性が高く、重度の歯周病の場合は、抜歯あるいは歯茎内を清潔にするポケット掻爬術が行われます。
軽度の歯周病であれば、普段のお手入れ方法を改善するだけで健康的な歯茎に戻る事もあります。
3-4. 「根尖病変」による痛み
根尖病変の痛みは、噛んだとき、あるいは疲れがたまっていたり体調を崩しているときに起こります。
強い痛みではなく、違和感程度である場合の方が多いため、患者様自身が根尖病変の存在に気づけないというケースも少なくありません。
神経を失った歯に起こりやすいので、被せ物をしている歯で噛んだときに違和感を感じたら、歯の破折か根尖病変を疑いましょう。
また、根尖病変では、排膿がない場合は、中で強い圧がかかると激痛が起こる恐れがあります。
その場合は、鎮痛剤を飲んでも効果はほとんどありません。
急激な気圧の変化がある飛行機での移動は、痛みを生じやすく、緊急処置も難しいため大変危険です。
飛行機を使用するときは、事前に歯科医院で検査することをおすすめ致します。
まとめ
歯の痛みには様々な種類が存在し、発生するタイミングや感じ方も異なります。
原因によって対処法も変わってくるので、まずは原因が何なのかを調べる事が大切です。
今回ご紹介した「痛みを軽減する方法」は、あくまで緊急処置であり、根本的な解決策にはなりません。
必ず早めに歯科医院で適切な処置を受けるようにして下さい。
歯のトラブルでは、痛みを感じたら手遅れというケースも少なくありませんので、定期的なチェックを心がけましょう。
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