「歯周病は怖いもの」という概念は、近年テレビやコマーシャルでも取り扱われており一般の人にも定着しているものとなっています。
しかし、本当に正しい知識はお持ちですか?
歯周病はおじいちゃんおばあちゃんのなるもの、自分にはあまり関係がないと思っているのは大間違い!
今から、正しい知識を身につけて、歯周病のない綺麗なお口の中を保ちませんか?
1.歯周病って?
そもそも歯周病とは何でしょうか。歯槽膿漏(しそうのうろう)とも呼ばれていますが、歯科用語では歯周病といいます。
歯茎が腫れて、歯茎の中の歯を支える骨が溶けてしまう病気です。
歯を支える骨が溶けてしまうので、歯を支えられず歯がグラグラと動き、重度の歯周病になると歯が自然に抜け落ちてしまう大変怖い病気です。
1-1.歯周病は気づきにくい?
歯周病は、自覚症状があまりなくご自身で気づかないうちに進行してしまうケースが多くあります。
特に喫煙者の方は注意が必要です。喫煙者は、非喫煙者に比べて2~8倍歯周病になりやすいと言われているうえに、非喫煙者に比べて自覚症状がさらに出にくいのです。
喫煙者は、歯周病の初期症状である歯茎の腫れや出血が出にくく、さらに治療も治りにくい為、歯周病にならないためには、タバコを吸わない、少しでも量を減らすことをお勧めします。
タバコを吸う方にとっては、耳の痛い話ですね。
1-2.歯周病は感染症
タイトルにもある通り、歯周病は感染症です。
唾液感染をしますので、歯周病の人とキスをしたり、同じ箸を使うこと、同じ鍋をつつくことなどは避けるべきことです。
ただ感染をしたら、すぐに歯周病になってしまうのかというとそうではありません。
歯周病は、お口の中の環境(清掃状態)や、ストレス、全身状態など二次的な要因と関連して症状が現れるものですので、自己管理をしっかり行うことがとても大切といえます。
1-3.子供への感染
お子さんのいる方は、とても心配に思うかと思います。しかし、歯周病は乳幼児期の感染はないという説があります。
思春期から30歳前後で歯周病に何らかの形で感染するといわれています。赤ちゃんには、歯周病はないのです。
しかし、清掃不良によって歯肉炎を起こしているケースは多くありますのでしっかりと歯磨きをしてあげてください。
歯肉炎は、歯茎に限局した炎症です。しっかり歯磨きをしてあげることで歯肉炎を防ぐこと、また治癒させることが出来ますので赤ちゃんのお口の中をチェックしてあげましょう。
赤ちゃんには歯周病の感染はありませんが、虫歯菌が感染することはありますので感染に注意することには変わりありません。
赤ちゃんの食べるスプーンなどは別にする、口移しなどはしないなど気をつけてあげてください。
詳しくは、「赤ちゃんの歯に関してこれだけは知っておくべき5つのこと」も参考にしてください。
2.歯周病を予防しよう
歯周病にならないために、事前に予防することが大切です。
まずは、お口の中を綺麗にしましょう。1日歯磨きは何回していますか?朝夜の2回以上の歯磨きは必須です。
そして、磨いていれば良いというものではありませんので、時間をかけて丁寧にしっかり磨きましょう。
特に、夜寝る前の歯磨きが重要です。寝ている間は、唾液の分泌量が減りますので、細菌が増殖しやすい環境にあります。
しっかり細菌量を減らしてから睡眠をとらないと、寝ている間にどんどん歯周病の原因菌を増殖させてしまうことになります。
少なくても、5分以上の時間をかけて丁寧に歯磨きをする習慣をつけましょう。
詳しくは、「歯科衛生士がやっている虫歯、歯周病にならない歯磨きの方法」も参考にしてください。
2-1.補助用具の併用を
歯磨きの際は、何を使っていますか?
歯ブラシのみという方は、ぜひ補助用具の併用をお勧めします。補助用具とは、歯間ブラシやデンタルフロスなどです。
歯間ブラシは、歯と歯の間の隙間を綺麗にするのに使用します。サイズは、メーカーによっても違いますし、歯と歯の間の隙間の大きさによっても合うサイズが違います。
サイズ合わせは、ぜひ歯医者さんでしてもらうことをお勧めします。
サイズの小さすぎるものを使用すると汚れが落ちずに意味がありませんし、大きすぎるものは歯茎を傷つけてしまいます。また、必ずしも使う必要がない場合もあります。
10代から20代の方は、歯茎が健康で引き締まっているために隙間が小さく、小さな歯間ブラシでも入らない場合が多くあります。
その場合は、無理に入れてしまうことで歯茎を傷つけてしまい逆効果となりますので、使用はしないようにしましょう。
デンタルフロスは、どの人も使用してほしい補助用具です。歯と歯の接触している部分の汚れを取るのに最適で、歯茎に沿わせてしっかり入れると、歯周ポケットの汚れも取り除くことが出来るからです。
これは、長い糸を使いやすい長さにカットして使うものと、プラスチックの柄に糸がついたものと2種類あります。
ご自身が使いやすいものであれば、どちらを使っていただいても構いません。
この使い方は、歯と歯の間に丁寧にのこぎりのように前後して入れて、あとは歯に沿わせて前後の歯に糸をこすりつけるようにして使います。
慣れるまでは、時間がかかると思いますが是非、習慣化させることをお勧めします。
2-2.プロフェッショナルケアを
ご自身でしっかり磨いているつもりでも、お口の中はとても複雑な形態をしており、完璧な歯磨きは難しいものです。
定期的に、歯医者さんでプロのケアを受けることはとても大切です。ご自身では取り切れない細かいところの汚れをしっかり取ってもらいましょう。
また、歯石除去もとても大切です。歯石は、無機質で歯石そのものには害がありません。
しかし、それらは軽石のように無数の穴があいており、その中に細菌が住みついてしまうことで歯茎に悪影響を与えます。
歯石は歯茎にぴったりと張り付くことでも炎症を与えます。絆創膏を傷口に長期間張っているとグチュグチュとさらに炎症を起こすことはありませんか?
歯石は異物です。細菌の塊の異物をしっかりと取り除くことは、歯周病の予防にとても有効です。
また、歯石は字のごとく石のように硬いものですので、歯ブラシなどで取り除くことはできません。
つまようじや先の尖ったもので無理に取ろうとすると、歯茎を傷つける原因となりますので、プロに任せましょう。
3.定期的な歯科健診を
定期的に歯科受診をすることで、予防、また早期発見につながります。
歯科受診の間隔は、その人のお口の中の状態にもよりますが少なくても半年に1度の受診がおすすめです。
石田かすみ
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